ビスクドールの
美の真髄は
人形が持つ微やかな艶のある滑らかで透明感のある
白磁の肌で、一点の汚れない美しい人間の素肌に酷似している点です。
この白磁の質感を作るには何でもいいから白磁を使って焼けば出来るという
訳ではありません。
一般にボーセレンと言われている土もピンからキリまで様々な品質の物が
ありますが、ビスクドールに使用される液状のボーセレンはカオリン(白陶土)と
呼ばれる土にクォーツ(水晶の微成分)を加えてあり、焼成時にその硬く滑らかで
半透明感のある表面が得られます。
完成まで高度の技術と経験が要求されます。白磁を摂氏1350度の高温で焼き
上げますが、常に一定の結果は期待できず、割れが入ったり、キルン(電気炉)
中の高温によるワープ(変形)を起こしたりの難しさが常に伴います。
白磁焼成後、4~5回の絵付け焼を施し、顔は完成します。
顔を描くとき、100種類以上あるそれぞれの人形の描き方が厳密に決まっていて、
勝手に描く自己流は許されません。勝手に描いたものはレプリカとは認められない
人形になってしまいます。
人形が身に着けるコスチュームは昔のフランス貴族の子女のもので、歴史的衣装
研究にもとづてデザインされます。
人間のドレスの完全雛形で、すべて下着からアウターウェアまで完全着脱可能
であり、糊付け等は一切ありません。縫製方法や使用材質は厳しい製造規約に従い、
当時の人形の再生がなされます。ゆえに完成までには人形作家の多くの経験と
知識とに裏付けられた技術が必要とされます。